BLOG

ブログ

  1. HOME
  2. ブログ
  3. 助成金・補助金
  4. キャリアアップ助成金の短時間労働者労働時間延長コースとは、どのような助成金なのか?

キャリアアップ助成金の短時間労働者労働時間延長コースとは、どのような助成金なのか?

「キャリアアップ助成金」という制度は、契約社員やパート・アルバイト、派遣社員などの非正規雇用労働者の処遇を改善し、キャリアアップを図ることで助成される制度です。

コースは全部で7種あり、今回ご紹介する「短時間労働者労働時間延長コース」は、パート・アルバイトなど、短時間で働く労働者の労働時間を延長することで助成金が貰えます。

ここでは、この「短時間労働者労働時間延長コース」について、詳しくご説明します。

短時間労働者労働時間延長コースの目的

まずは、「短時間労働者労働時間延長コース」の目的と概要についてご紹介します。

目的

この「短時間労働者労働時間延長コース」では、労働者の労働時間数を増やしただけでは助成金を受給することは出来ません。あわせて、社会保険に加入させる必要もあります。

つまり、短時間で働く労働者で、現在社会保険被保険者ではない労働者の労働時間数や賃金を増やすことで社会保険に加入できるようにすることが目的です。

社会保険に加入するには、週の所定労働時間数と1か月の賃金、雇用期間など5つほどの要件があり、それらすべてに該当する必要があるのです。

要件を満たすためには、労働時間数を増やすだけでは足りず、時間給も増やす必要があり、結果として生活の安定と将来不安の解消に繋がります。

安心して働ける環境と雇用条件が有れば、様々な理由で正規雇用で働くことが出来ない優秀な人材を確保することも出来るのです。

概要

厚生労働省が配布しているパンフレットによれば、

「雇用する有期雇用労働者等について、週所定労働時間を5時間以上延長または週所定労働時間を1時間以上5時間未満延長するとともに処遇の改善を図り、当該措置により当該有期雇用労働者等を新たに社会保険の被保険者とした場合に助成します。」

引用:厚生労働省 「キャリアアップ助成金」パンフレット 62p

とあります。

つまり、「パート従業員やアルバイト従業員など、短時間で働く労働者の1週間の労働時間数を5時間以上増やして社会保険の被保険者とした場合か、1時間以上5時間未満労働時間数を増やすとともに、時給単価を増額するなどして社会保険の被保険者とした場合に、助成金を支給します」ということです。

支給対象は?

では、助成金を受給するにはどうすれば良いのでしょうか?

対象となる事業主は?

支給対象となる事業主は、以下5つの項目すべてに該当する事業主です。

  1. 雇用する有期雇用労働者等について、週所定労働時間を5時間以上延長した、または週所定労働時間を1時間以上5時間未満延長するとともに基本給の増額を図った事業主であること
  2. 上記1番によって週所定労働時間を延長し、新たに社会保険の被保険者となった労働者を、延長後6ヶ月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して延長後の処遇適用後6ヶ月分の賃金を支給した事業主であること
  3. 新たに社会保険の被保険者となった有期雇用労働者等について、基本給および定額で支給されている諸手当を新たに社会保険被保険者となる前に比べて減額していない事業主であること
  4. 上記1番により週所定労働時間を延長した日以降のすべての期間について、当該労働者を雇用保険および社会保険の被保険者として適用させている事業主であること
  5. 上記1番により週所定労働時間を延長した際に、週所定労働時間および社会保険加入状況を明確にした雇用契約書等を作成および交付している事業主であること

参照:「キャリアアップ助成金」パンフレット 63p

生産性要件を満たした場合の支給額の適用を受ける場合は、これら5項目のほか、生産性要件を満たす必要もあります。

対象となる労働者は?

対象となる労働者は、以下5つの要件すべてに該当する労働者です。

  1. 週所定労働時間を延長した後、6ヶ月以上の期間継続して支給対象事業主に雇用される有期雇用労働者等であること
  2. 以下5項目のいずれかに該当する労働者であること
    • 週所定労働時間を5時間以上延長した日の前日から起算して過去6ヶ月以上の期間継続して、有期雇用労働者等として雇用された者
    • 週所定労働時間を1時間以上2時間未満延長した日の前日から起算して過去6ヶ月以上の期間継続して、有期雇用労働者等として雇用された者であり、かつ週所定労働時間の延長後の基本給が延長前の基本給に比べて13%以上昇給している者
    • 週所定労働時間を2時間以上3時間未満延長した日の前日から起算して過去6ヶ月以上の期間継続して、有期雇用労働者等として雇用された者であり、かつ週所定労働時間の延長後の基本給が延長前の基本給に比べて8%以上昇給している者
    • 週所定労働時間を3時間以上4時間未満延長した日の前日から起算して過去6ヶ月以上の期間継続して、有期雇用労働者等として雇用された者であり、かつ週所定労働時間の延長後の基本給が延長前の基本給に比べて3%以上昇給している者
    • 週所定労働時間を4時間以上5時間未満延長した日の前日から起算して過去6ヶ月以上の期間継続して、有期雇用労働者等として雇用された者であり、かつ週所定労働時間の延長後の基本給が延長前の基本給に比べて2%以上昇給している者
  3. 週所定労働時間を延長した日の前日から起算して過去6ヶ月間、社会保険の適用要件を満たしていなかった者であって、かつ支給対象事業主の事業所において過去2年以内に社会保険に加入していなかった者であること
  4. 週所定労働時間の延長を行った事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者であること
  5. 支給申請日において離職していない者であること
    • 本人の都合による離職または、本人の責めに帰すべき理由による解雇は含まない
    • 天災その他やむを得ない理由のために事業継続が困難となった場合による解雇も含まない

参照:「キャリアアップ助成金」パンフレット 63p

何をすれば支給される?


画像引用:政府広報オンライン

支給対象となる取組は、以下の通りです。

  • 週所定労働時間を5時間以上延長し、新たに社会保険に適用した場合
  • 週所定労働時間を1時間以上2時間未満延長し、さらに基本給を13%以上昇給させて新たに社会保険に適用した場合
  • 週所定労働時間を2時間以上3時間未満延長し、さらに基本給を8%以上昇給させて新たに社会保険に適用した場合
  • 週所定労働時間を3時間以上4時間未満延長し、さらに基本給を3%以上昇給させて新たに社会保険に適用した場合
  • 週所定労働時間を4時間以上5時間未満延長し、さらに基本給を2%以上昇給させて新たに社会保険に適用した場合

では、実際にどんなことをすれば良いのか、令和元年の全国加重平均額を使って確認していましょう。

【実施例】

<時間延長前の条件>

時間給:901円、1日の労働時間:6時間、週の出勤日数:3日

  • 週所定労働時間 ・・・ 20時間以上であること
    • 6時間 × 3日 = 18時間 ・・・ 社会保険加入要件を満たさない
  • 1か月あたりの決まった賃金 ・・・ 88,000円以上であること
    • 6時間 × 3日 × 901円 × 52週 ÷ 12か月 = 70,278円 ・・・ 社会保険加入要件を満たさない

今回使用した時間給「901円」は、令和元年の全国加重平均額です。時間給には地域差があり、このの全国加重平均額以上の自治体もあれば、790円と低額の自治体もあります。

ちなみに、東京都の平均額は1,013円です。先ほどの計算式に当てはめると79,014円となり、この時間給でも加入要件を満たしません。

<5時間延長した場合>
  • 週所定労働時間
    • 18時間 + 5時間 = 23時間 ・・・ 社会保険加入要件を満たす
  • 1か月あたりの決まった賃金
    • 23時間 × 901円 × 52週 ÷ 12か月 = 89,799円 ・・・ 社会保険加入要件を満たす

加重平均額の901円の場合は、5時間延長しただけで社会保険加入要件を満たします。ですが、最低平均額の790円の場合はどうでしょうか?

上の計算式に790円を当てはめて計算すると、78,736円にしかなりません。この場合には、さらに時給をアップするか、労働時間数を増やさなければ社会保険加入要件を満たすことが出来ません。

<週所定労働時間20時間の場合の時給>

社会保険加入要件を満たす週所定労働時間20時間、1か月あたりの決まった賃金88,000円の場合、時間給がいくらになるのか確認してみましょう。

88,000円 × 12か月 ÷ 52週 ÷ 20時間 = 1,016円

時給901円(全国加重平均額)の場合、12.8%近く昇給する必要があります。また、全国の最低額となる時給790円の場合なら、28.6%昇給になります。

有期雇用労働者等によっては、扶養の範囲内で働きたいという方や、家庭の事情で時間数を増やせないという方などもいるということを考慮し、それぞれの意向に沿った方法で社会保険の加入要件を満たせるように、労働時間数・時間給の調整を行いましょう。

支給申請と支給額

最後に、助成金の支給申請と必要な書類などについてご説明します。

支給申請期間


画像引用:厚生労働省 キャリアアップ助成金パンフレット 65p

支給申請期間は、短時間労働者の週所定労働時間延長後6ヶ月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2ヶ月以内です。

申請書類と添付書類

「キャリアアップ助成金」では、全てのコースで事前に「キャリアアップ計画書」の提出を義務付けています。各コースの取組を実施する前に「キャリアアップ計画書」を作成し、管轄労働局長の認定を受けましょう。

なお、申請書類は厚生労働省のHPからダウンロードできます。

【キャリアアップ計画書】

  • 様式第1号「キャリアアップ計画書」
  • 様式第2号「キャリアアップ計画書(変更届)」

変更届については、計画に変更がある場合提出します。

【申請書類】

  • 様式第3号「キャリアアップ助成金支給申請書」
  • 様式第3号 別添様式7「短時間労働者労働時間延長コース内訳」

【添付書類】

  1. 共通要領様式第1号「支給要件確認申立書」
  2. 支払方法・受取人住所届
  3. 管轄労働局長の認定を受けた「キャリアアップ計画書」の写し
  4. 対象労働者の週所定労働時間の延長間和え及び延長後の雇用契約書等
  5. 対象労働者の労働基準法第108条に定める賃金台帳または船員法第58条の2に定める報酬支払簿
  6. 対象労働者の出勤簿等
  7. 中小企業事業主である場合、中小企業事業主であることを確認できる書類
    • 企業の資本の額または出資の総額により中小企業事業主に該当する場合
      • 登記事項証明書、資本の額または出資の総額を記載した書類等
    • 企業全体の常時雇用する労働者の数により中小企業事業主に該当する場合
      • 様式第4号「事業所確認表」
  8. 基本給および定額で支給されている諸手当を新たに社会保険の被保険者となる前と比べて減額していないこと、並びに延長後6ヶ月において社会保険の被保険者であることおよび延長後6ヶ月分の賃金が支給されていることについての対象労働者本人の確認書

【生産性要件に係る支給申請の場合】

この申請書類と添付書類は、生産性の向上が認められる場合の支給額の適用を受ける場合のみ、提出が必要となります。通常の支給額を希望される場合は、提出は不要です。

【その他の書類】

  • 特定適用事業所該当通知書
    • 公的年金制度の財政基盤および最低保証機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律附則第17条に規定する特定適用事業所に通知されるもの
  • 任意特定適用事業所該当通知書
    • 公的年金制度の財政基盤および最低保証機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律附則第17条第5項の申出をした事業所に交付されるもの

この2つの書類は、該当する方のみ提出します。

申請書類・添付書類の詳細については、厚生労働省配布のパンフレット支給要領をご確認ください。

支給額

支給額は以下の通りです。

労働時間数 昇給割合 中小企業等 大企業
支給額 生産性向上が認められる場合 支給額 生産性向上が認められる場合
5時間以上 225,000円 284,000円 169,000円 213,000円
4時間以上5時間未満 2%以上 180,000円 227,000円 135,000円 170,000円
3時間以上4時間未満 3%以上 135,000円 170,000円 101,000円 128,000円
2時間以上3時間未満 8%以上 90,000円 114,000円 68,000円 86,000円
1時間以上2時間未満 13%以上 45,000円 57,000円 34,000円 43,000円

支給額は1人当たりの金額です。

支給は、1年度1事業所当たり45人まで認められます。また、この支給額は令和3年3月31日まで一部増額されています。

詳細については、厚生労働省が配布しているパンフレット支給要領をご確認ください。

まとめ

「短時間労働者労働時間延長コース」は、有期雇用労働者等の中でも短時間で働く労働者が対象となる助成金制度です。

社会保険に加入することが難しい短時間労働者の労働時間を延長したり、時間給をアップしたりして社会保険加入要件を満たす様に、雇用条件を変えることで助成金が支給されます。

短時間労働者の中には、現在の労働条件では生活に不安があるという方も少なくありませんし、将来に不安を抱えている方も少なくありません。

そのような方々の不安を解消することで、仕事に集中してもらい、結果として事業所内の生産性の向上につなげることも出来ます。

優秀な人材を確保しつつ、社内の生産性も向上させた地と考えるなら、ぜひ、この助成金の活用を検討してみてはいかがでしょうか?

関連記事